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「円形の壁がある木造建築」というテーマで、箱根の宮城野の別荘をご紹介しています。
前回は、円形壁の下地作りについてご説明しました。前回の記事は以下からご覧いただけます。
建築豆知識:木造の家でも、丸い壁は作れる?その1〜骨組みを作る「大工の神業」

今回は、Web担当スタッフのMKが、「化粧仕上げ」とも言われる、外壁の仕上げ工事についてご説明します。

外壁の工法、「湿式」と「乾式」とは?

湿式は、モルタルや漆喰(しっくい)のように、水で練った素材を壁に塗っていく工法です。職人の手仕事なので、独自のデザイン性や風合いを追求できるのが特徴です。
それに対して乾式は、工場で作られたサイディングと呼ばれる板状の外壁材を、釘で(場合により接着剤を併用して)壁に取り付けます。湿式と比べて工期が短くなり、コストも抑えられます。

乾式(サイディング)の外壁

当事務所では、主に湿式の外壁を採用しています(乾式の外壁もケースバイケースで採用します)。理由としては、乾式の外壁は無味乾燥で味わいがないことが多いと考えているためです。
天然素材の風情を生かした外観にしたい場合や、オリジナリティのある建築にしたい場合は湿式の外壁がおすすめです。

リシン吹付で仕上げたモルタル外壁

今回の別荘は、モルタルの外壁をリシン吹付という方法で仕上げています。この方法は塗装剤に骨材と呼ばれる小さな石や砂を混ぜてスプレーガンで吹き付けるため、昔はリシンガン吹付とも呼ばれていました。
リシン吹付で仕上げると、ざらざらとした感触の壁になります。こうした壁を、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

リシン吹付の外壁

近寄ってよく見ると、小さな粒(骨材)が吹き付けられていることがわかります。

リシン吹付はスプレーガンを使うので、ローラーで仕上げる工法よりも作業時間が短く、コストが安く抑えられます。モルタル壁の仕上げの中では安い仕様とも言われますが、採用できる色が無限にあり、可能性も無限になるため、当事務所ではリシン吹付を採用することが多いです。

前回の記事でご説明した通り、外壁の強度を保つためには、まずは“下地の下地”である木ずり板(杉板)貼りとラス(金網)貼り、そして“下地”となるモルタル塗りの施工精度が大切です。
信頼できる施工会社(工務店)に依頼して“下地の下地”と“下地”をきっちり作ってもらえるからこそ、リシン吹付による最終仕上げで、思い描いた通りの外壁を実現することができるのです。

建築家(設計事務所)は建築主の代理人

以前に、建築主となる方から「米村さんに依頼するのと、ハウスメーカーに依頼するのとは何が違いますか?」と聞かれたことがあります。家をつくる場合、ハウスメーカー以外に、施工会社(工務店)に頼む場合もあります。
建築家である私(米村)からすると大きな違いでも、一般の方には理解されていない、とても重要なことでした。

ハウスメーカーは知名度が高く資本力があるため、信用できると考える方が多いと思います。しかし、施工不良などのトラブルがあった場合、ハウスメーカーの社員である設計士が、個人としての存在である建築主をどれだけ守ってくれるでしょうか。
実は、ハウスメーカーをトラブルで訴える建築主は決して少なくないのが現実です。私はボランティアで建築紛争対応もしているため、そういったケースをいくつも目にしてきました。

では、施工会社(工務店)に依頼する場合はどうでしょうか。極端な言い方ですが、工事をする上で、建築主が一人で施工会社とさまざまな交渉をすることになります。建築の専門家ではない建築主にとっては、大きな負担です。
それに、もしも施工会社との間でトラブルが発生した場合、建築主の味方になってくれる人がいないという問題があります。

建築家(設計事務所)の役割は、設計することだけではありません。建築主の代理人として、施工会社との金額調整や、施工監理なども行います。建築家のサポートを受けずに家をつくろうとするのは、例えて言えば弁護士なしで裁判をするようなものです。

設計事務所との家づくりなら、納得いくまでプランを検討して、唯一のオリジナルデザインで設計ができます。さらに、その設計を実現するために、世の中に数多くある施工会社の中から、一番誠意と技術力がある会社を選ぶことができるのです。私は、そのようにお答えしています。

家をつくりたいと思ったら、まずはご相談ください。

ハウスメーカー、施工会社、建築家(設計事務所)それぞれの家づくりのメリット・デメリットについて、詳しく解説したコラムはこちらです。
家づくり3つの方法の長所と短所

湘南を拠点にする一級建築士事務所 米村和夫建築アトリエ/風のアトリエ
建築家 米村和夫

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