大きな窓から景色を独り占め!芦ノ湖高原別荘地での暮らし
芦ノ湖高原別荘地は、富士山と駿河湾を両方とも楽しめることで人気の高い別荘地です。私(米村)は芦ノ湖高原別荘地において、4軒の別荘を手掛けています(2025年3月現在で2軒が完成、3軒目を建設中、4軒目を設計中)。
今回は、最初に芦ノ湖高原別荘地につくった別荘についてご紹介します。

「ワクワク感」が満載の別荘にしたい
ご依頼いただいたきっかけは、崖地や傾斜地での設計実績があることでした。建築主は、購入した土地が傾斜地だったため、傾斜地に強い設計事務所を探したそうです。
私は、建築主とのコミュニケーションが何よりも大切だと考えています。まずは建築主が理想とする生活スタイルや、別荘ライフ、「芦ノ湖高原ならではの楽しみとは何か」などについて詳しくお話を伺い、設計やデザインのキーワードをピックアップしていく作業から始めました。
(この辺りの進め方は、建築主のお考えや計画地の条件、ご予算などによって変わります)
そうした作業から見えてきたのは、建築主は富士山、三島・沼津の夜景、駿河湾といった眺望を第一に望んでいるということでした。また、建築主が別荘で暮らしたいと考えるまでのプロセスには「旅感覚の強い感性」が関わっていたことが強く感じられました。
そこで、「ワクワク感が満載の別荘」、「心地よさを感じられる建物」という方向性を設定。私がコンセプトとしている「心地よい風が吹き抜ける建築を」にも通じる考え方だったため、「風」と「抜け」をキーワードとしました。

昼も夜も、眺望を最大限に楽しむための工夫
私は「建築にはストーリーがある」と考えています。
この別荘では、玄関に入ってからスキップフロアを歩くと、芦ノ湖高原のシーンや風景が次々と視界に、身体に、意識に飛び込んできます。2階のリビングというクライマックスに向けて、ワクワク感を畳み掛けていくのです。クライマックスに到達すると、富士山と駿河湾の最高の景色が待っています。薪ストーブの火を見ながらゆったりと景色を楽しむストーリーが出来上がりました。

「抜け感」を出すために、空間と空間の「間」や、コート(中庭)を家中に設けています。建物の中でも風を感じられて、視線が抜けるように、壁は最小限に。2階のリビングは全方向に窓を設けて、入った瞬間からダイナミックな眺望を楽しめるようにしています。特に、眼下に駿河湾を望む方向は足元まで全面ガラス張りにすることで、まるで天空に浮いているかのような開放感を演出しました。
太陽の光が部屋中を満たし、窓を開ければ心地よい風が吹き抜けます。日が暮れると、美しい夜景を見ることができます。


別荘暮らしのワクワク感を象徴するものと言えば、薪ストーブではないでしょうか。この別荘では安全に配慮した設計を行い、2階のリビングに薪ストーブを設置しました。
薪ストーブの背後にある耐力壁は、火災予防とともに隣家からの視線を遮る役割も兼ねています。景色を切り取ったことで、隣の窓から見える富士山がより美しく感じられるようになりました。
家全体を効率的に暖めるため、薪ストーブで暖めた空気を天井の高い位置で取り込み、床下や他の部屋に送っています。
薪を用意したり、火力を調整したりする手間はかかりますが、薪ストーブは暖房器具として使えるだけではなく、焼き芋を焼くといった楽しみ方もできます。
薪がパチパチとはぜる音を聞きながら富士山や駿河湾の景色を眺めてのんびり過ごす時間は、都会では味わえない贅沢なひとときになるでしょう。

景色を眺めながら料理をつくり、食事を味わえる
2階には開放感のあるオープンキッチンを設けました。キッチン側の床を少し下げることで、カウンターに座ったときにキッチンに立つ人と目線が合うようにしています。雄大な景色の中で会話を楽しみながら食事ができる、とっておきの空間です。

さらに、キッチンの背面にはコート(中庭)に直接出られる扉をつくりました。コートに出れば、さらに近くに自然を感じながら、食事やお茶の時間を満喫することができます。

建築主のご夫妻は、完成した別荘をとても気に入ってくださいました。
別荘を建てる際には、建築主と設計士が一緒になって、どのような暮らしを送りたいのか考えることが大切です。ぜひ一度、ご相談ください。
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湘南を拠点にする一級建築士事務所 米村和夫建築アトリエ/風のアトリエ
建築家 米村和夫