海辺の町の防災倉庫の提案をしてみたら...
現在,「防災備蓄倉庫設置マニュアル」という小冊子を神奈川県
建築士事務所協会藤沢支部有志グループで編集作業をしています.
調べるほどに,自分の無力感を感じてきます.
ただコンテナを置くだけの無味乾燥の全国横ならびの
防災倉庫にもう少し,地域特製やら風土性,景観的な
アプローチが提言できるものと思っていたのでしたが,
結局は,補助金であり,物置メーカー商品が街に設置されていく手助け
をしてるだけではないか?
これを,街並み.景観.デザインなどを口にして美を追求すべき建築家が
関わっていいものなのか?と真剣に悩んだ.
せめてもの抵抗にと思って,提案型の防災倉庫の絵を作成して提出してみた.するとどうであろう,
支部の内部審査で「現実的では無さすぎる」「構造的に,法的に成立しないものなど出すな」
「役所で大問題になる」などとブーイングの嵐になってしまった.
まあ,よく考えたら,事務所協会は建築家団体ではないことを再認識.
デザインやら構想を語る場ではなかった.
海辺の町では,海抜が低い以上津波発生時にどう(住民が,役所が)対応するかが
その後の結果に大きな影響を与えます.)高台,丘もないほぼフラットな地形に住む住民
にとって,観光客にとって,サーファーにとって「速やかに避難する」という言葉はほぼ意味がない.
(標高が高く)避難場所として有効な場所は,マンションと小学校・中学校の校舎の屋上
しかないのである.そこに千人単位の人が集まるとさらに危険であり,そのようなことを
考えると,屋上空間こそ地域防災思想の象徴的空間と位置付けられるのである.
大量の救命用のボートを常備することを義務化していくべきであり,構想の現実化に
補助金を投入すべきなのです.
「屋上避難スペース」施設をピックアップし,屋上に倉庫等の構造物が載っても大丈夫かの
構造チェック,容積率の確認をすることが前提であるが,
屋上に倉庫を載せること,大量の救命ボートを備蓄することの機能性だけを追求すると海辺
の町のスカイラインを壊してしまうことから,海岸沿いに点在する地引網会場の食事用テント
スペースをモチーフに,鉄パイプで格子状に構成された空間を作りペインティングした
防災倉庫の存在の違和感を中和し身近に,バランスを取ってみたものです.