自己紹介

建築家・一級建築士
米村和夫|Kazuo Yonemura

僕が生まれる前に亡くなった祖父が建築家でした.その血を引き継いだのか建築の事を考える事が大好きです.建築は天職のようです.

26歳で自身の建築感を実現しようと独立し現在にいたります.あたり前ですが簡単な事ではありません.人と出会い,人に助けられての今日です,一期一会がモットーです.

出会った人に対して,つくる建築に対して,何事も誠心誠意取り組む性格です.

学生時代

日本大学の理工学部に進学,ゼミで小林美夫先生と伊澤岬先生のもとで「設計やデザインはコンセプトが重要であること」,そして「どん欲に追求する姿勢」を徹底的に仕込まれました.その教えが実り卒業設計は念願の桜建賞(主席)をいただきました.その後の設計競技の勝率は両先生のおかげです.

1986年ロンドン,ロイヤルアカデミーにて

スタッフ時代

建設会社設計部在籍時代,アフター5にひたすら設計競技に応募,それがことごとく入選,その中でもセントラル硝子国際建築設計競技で最優秀賞を受賞する名誉を頂きました.22歳の時でした.表彰式で,審査員の伊藤喜三郎先生と出会い意気投合,先生に呼んでいただく形で130人を超える大きな設計事務所の所員となりました.伊藤喜三郎先生からは,「チャンスがあれば死ぬ気でやれ」と叱咤激励され,残業時間が200時間を超え意識もうろうとする中,「建築家は常に紳士でなければならない」と厳しく教えていただきました.

ヨーロッパへ.バックパッカーの旅

26歳で独立.同時に4ヶ月半のヨーロッパ建築巡礼の放浪旅を実行しました.毎日がワクワクとして忘れられない旅となりました.その前後にアジアや南北アメリカ,一部アフリカにも足をのばしました.100都市以上を巡り歩いたことになります.特に第三世界の街の生活感あふれる独特の空気,雰囲気が好きです.生活する人たちが主役でその人たちが楽しく生き生きしている日常生活があってこそ建築が生き生きとしてくる!という当たりまえの現実を学ぶことができました.

1995年ボリビア,チチカカ湖にて

講師として

専門学校の非常勤講師を14年間経験しました.人に教え共に学ぶ事が大好きです.建築のこと,デザインの事,将来の夢や不安,人生の事,その他いろいろな会話から,学生たちの人生に何らかの手助けが出来る事は教員冥利につきることでした.これからも機会があれば関わっていきたいです.

湘南鵠沼海岸に

2011年3月に,憧れの湘南に移住しました.今まで空を見上げる事がなかったのですが空を見上げる日常生活をしています.日々の陽射しの違いを感じながら,刻々と変わる風を感じる生活です.江の島や富士山を見,海岸を散歩しながら海辺の生活を満喫しています.自然を意識し,感性を自然に近づける意識こそ設計活動をする上で必要な事と思います,

性能をもとめて

物づくりへの思い

僕は,建築が大好きです.
“唯一”のものをつくる行為
“美”を追求する行為
“無から有をつくる魅力”があるからだと思います.

建築は,何件つくっても同じものはできません.
敷地が違えば環境も,条件も,法律も変わります.
住む人も,利用する人も違います.
資金計画も,価値観も位置づけも違います.

”唯一”の答えを求めるのが建築.その答えは一つではなく無限です.
設計者によって答えも違います.
建築の奥の深い所です.

建築空間の可能性への探求は終わりがありません.

より魅力的につくろう!
より美しくつくろう!
より面白いものをつくろう!

もっと使いやすくなるはずだ!
もっといい方法があるはずだ!
違う視点で考えてみよう!

考え.悩み.試行錯誤して改善、改良されて進化していく
それを図面で表現する、そして工事現場で多くの人たちの手によって具現化されていく
そのプロセスがたまらなく僕は大好きです.

“建築とは哲学することなり”と言われています.
自分なりの答えを求める作業
建築主の要望に応えるための作業
より美しいものを求める作業
そのプロセスに終わりはありません,自分が終わりと思った時が終わり
自分自身が“終わり”と言うまでが設計作業でもあり自分との戦いでもあります.

「魅力的な建築は,魅力的な人間からでないと生まれてこない」
これは,建築家,安藤忠雄の言葉です.
創作者であること,それは自分自身が,魅力的な人間でなければいけないと言う事です.僕が心がけている事です.

旅人目線の建築
僕は,バックパッカーの旅をしてきました.

旅の魅力は何か?
未知の世界に足を踏み入れる,未知なる景色と出会い
予期しない気配と空気と風を体感し感動的な人や人情,建築空間との出会い
みな共通する事は
“予期しない出会い”“ワクワクする心地よい緊張感”だと思います.

旅行で体験するような,未知の世界に足を踏み入れる
心地よい緊張感とワクワクするような楽しさを求めて

「風」は単なる“風”だけを示すものではなく
“気配”や“気”の流れであり“人や空間の流れ”でもあります.
「心地よく動く(吹く)風」をコンセプトとして設計に取り入れているキーワードです.

写真:2010年4月竣工 めだかはうす(小川の流れる家)