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建築家(1級建築士)米村和夫が設計した注文住宅を紹介

芦ノ湖高原別荘地の家2

眺望抜群、シンプルでコンパクトな別荘

芦ノ湖高原別荘地内に新たな別荘建築ができました。同別荘地では2軒目になります。
建築主ご夫妻と娘さんの家族、3世代が利用する別荘です。敷地は緩やかな傾斜地で、南方向に沼津市街が見渡せ、その背後に駿河湾を望むことができるロケーションです。

予算上の制約から、建物の面積は絞りに絞って20坪です。機能的な視点で玄関スペースを無くし、広めの勝手口を設けました。
南側には大きな窓から出られるテラスを予定していますが、将来のDIYの楽しみとして未完成のままです。
結果的に、とても開放感があり、吹き抜け空間がダイナミックで、外の風景と一体感のある、非日常空間を体感できる別荘空間が完成しました。

別荘を建てる際に注意しなければならないのが、湿気対策です。軽井沢、箱根、那須などの別荘地エリアは、基本的に多湿です。さらに、一般的な住宅よりも利用する機会が限られるので、日常生活の感覚でいると荷物や貴重品はカビにやられますし、建物の耐久性にも大きく影響を受けてしまいます。
湿気対策・換気対策は、別荘計画の一丁目一番地といえます。芦ノ湖高原エリアは比較的湿気が少ないとはいえ、要注意です。
今回の別荘は傾斜地でもあるため、地面から建物をなるべく離して計画しました。地面は水分が多いので、距離を取るのは建物の耐久性を上げるためにとても有効です。高基礎(一般的な建築よりも高い基礎)にしています。
こうした傾斜地では、施工してくれる工務店を探すのも一苦労です。施工会社は数多くありますが、ご縁のある会社との出会いは簡単ではありませんでした。

外壁は「焼きっぱなし」の杉板。日本の昔からの伝統的建材を用いた工法です。炭が建物を守ってくれるので、塗装をしていません。建物全体を周囲の風景に溶け込ませるとともに、無塗装でコストを抑えることにも成功しました。
無駄を省きつつも、1階には段差を設けて「小上がり」のようなスペースを作るなど、ちょっとした変化を楽しめるようになっています。
床は、カバザクラの木目や風合いを生かした無垢のフローリングです。
内部は中央に2階(オープンな6畳)を計画、両サイドを吹き抜けにして、2階が宙に浮いているかのようなイメージに。

階段を上って2階に着くと、目の前のバルコニーからは駿河湾の景色。困難を乗り越えて傾斜地に建てた別荘だからこそ味わえる絶景です。

撮影:BAUHAUSNEO 後関勝也

CATEGORIES

別荘地, 崖地、傾斜地、斜面地, 静岡県

用途

住宅(別荘)

場所

静岡県三島市

竣工

2024年3月