四街道の焼杉の家
焼きっぱなしの杉板の外壁の家
難病のご家族の治療と介護を目的とした住宅ですが、それだけでなく、建築主がご自身の老後をどうやって過ごしたいかというビジョンを実現するための家でもあります。
建築主は部屋数の多い鉄筋コンクリートの建物に住んでいましたが、「究極の老後の住まいは、寝室を中心としたワンルーム」という気持ちに至ったそうです。
そこで当事務所では、機能をコンパクトにまとめた平屋建てとし、住まい方や人の動線を追求して居心地の良い空間を作り上げました。
全体的に段差のないバリアフリー仕様。介護一辺倒にならず日々の生活を楽しめるように、和の精神性を感じる空間や、木材を活かした空間づくりにこだわっています。
外壁は、杉板を焼いたままの状態で張る「焼きっぱなし(無塗装)」で仕上げました。塗装しなくても、炭化した層が紫外線や風雨から建物を守ります。
焼杉は関東では少数派の仕上げ方法ですが、日本の伝統的な外壁工法として古くから存在しています。一見すると真っ黒なテクスチャーですが、よく見れば1枚1枚味わいのある和の表現が出来る注目の素材です。
(焼杉を用いた他の住宅はこちらもご覧ください)
室内の構造材の柱(一等材)、天井材も杉材(小幅板)を採用しています。和の空間を意識しつつ、杉の持つ力強さや荒々しさとのバランスを取りながら人に優しい空間を演出しています。
撮影:BAUHAUSNEO 後関勝也